このたび『花をたてる』を、新潮社「青花」編集部より上梓させていただくこととなりました。
『花をたてる』は、いけばなの起源とされてきた「たてはな」の正体と対峙したいという、私の長年の思いが出発点となっています。たてはなは、かたちは単純ですが、宗教と芸能の境目にある、際疾い花です。芸能に傾くと形式へと収斂されてしまい、たてる本質からは遠退きます。私は迷うことなく、芸能の先にある、生命の始源へと通じる花を求めていくようになります。もとより正解などありません。しかしそれは私自身が、「たてるを生きる」ことを意味していました。試行錯誤の連続でしたが、無常の喜びを知った日々でもありました。 |
川瀬敏郎 |
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